6月12日発生した、
LINE公式アカウント(タイ王国版)大量BANの実態について、
当方の調査を終えましたので、報告いたします。
結論としては、
「日本ユーザーが抜け道として利用している海外アカウントを取り締まった訳ではなかった」
というものです。
今回のタイ版の大量アカウント削除が実施された背景から見るとわかりやすいです。
今年2月にLINE社は大規模なアカウント不正利用の外部攻撃を受けたようです。
今回の攻撃は単純な「アカウント乗っ取り」だけでなく、
「アカウントは(ユーザーが使える)通常状態のまま、タイムラインやチャットで不正投稿がされる」というものが目立ったそうです。
これら外部攻撃に加えて、
「LINE@」から「LINE公式アカウント」への完全移行を5月に終えたこともあり、
今までLINE社側の人的事情で中断していた監視活動を強化・再開したとのことです。
LINE社では、
運用環境の監視については、
①監視システムによる機械的な確認と、
②モニタリングチームによる人の目による確認の2段階で、
規約や法令に反するアカウントを取り締まっています。
そうした中、
不正利用や外部攻撃には、
四六時中さらされているLINE社ですが、
LINE公式アカウント、そのうちで海外アカウントについては、
「特にタイにおいてOpenChat上(メッセージ配信)で非合法のオンラインカジノに関する投稿(宣伝文言やURLなど)」
が監視強化のやり玉にまずあがったようです。(LINE社プレスリリースより)
加えて、
「オンラインカジノ」から連想ゲームのように
「金銭に関する詐欺が疑われる案件」が一斉アカウント削除の対象となった。
というのが、今回のタイ版BANの実態でした。
ちなみに、
「金銭に関する詐欺が疑われる案件」には、
賭博関連のアカウント(一部競馬や競艇も)
投資関連のアカウント
ポイントサイト関連のアカウント
お小遣い稼ぎ関連のアカウントなども
含められたようです。
また、
アカウント削除はあくまで、
LINE社スタッフによる「モニタリングチームによる人の目による監視」で行われていますが、
その際に考慮されたポイントが今回判明しました。
「アカウントの友だちブロック率」
「アカウントのスパム認定率」
「アカウントの通報率」
これら「ブロック・スパム扱い・通報」などは、
もちろん運用者の運用内容に原因があることは言うまでもありませんが、
これらアクションは全て「友だち側」で行われるため、
我々運用者側ではコントロールできない部分でもあります。
今回の一斉取り締まりにおいては、
ターゲットにされた「オンラインカジノ」関連は即アカウント削除が実施され、
類推された「金銭に関する詐欺が疑われる案件」には、
「ブロック率・スパム扱い・通報」が考慮され、
友だち数やメッセージ配信数が多いアカウントから順に検閲と削除が行われたようです。
以上が、
今回のLINE公式アカウント(タイ王国版)の大量アカウント削除の実態でした。
今回の事態を教訓に、
我々事業者が学ぶこと、工夫すべきことはなんなのでしょうか?
そもそも規約違反の運用をしないことが前提ですが、
LINE社の「モニタリングチーム」に目をつけられないためには、
「ブロック・スパム扱い・通報」を
受けないようなアカウント運営
に取り組まなければいけないようです。
LINEの仕組み上、
「友だち」になるには、
「友だち」側が自分で「+追加」ボタンを押さなければ「友だち」になれません。
つまり(悪意あるユーザーを除けば)、
何かしらの興味・関心を持って「友だち」追加してくれている訳です。
それが、
「友だち」になった後に、
「ブロック・スパム扱い・通報」などをするということは、
運営内容が「友だち」の期待値を満たしていない、
もしくは不満を持たせてしまっている、
ということの現れであると言えます。
通常、
ブロック率を“ゼロ”にすることはほぼ不可能で、
平均すると2~3割のブロック率は容認されるレベルのうようです。
しかしこれが、50%を超えてくると、
そのアカウントは「不適切な運営がされている」と疑われ始める訳です。
「スパム」はどうでしょうか?
これはメッセージ配信やチャットに
「不適切な外部URLへの誘導」があるかどうか、
で判断されています。
これは正直、厳しくて、
明らかに自社サイトとわかるもの以外全てのURLがスパム認定の対象になりうります。
我々ができる対策は、
アカウント名と同じ、もしくは同じとわかるようなサイトURLをプロフィール欄に明記し、
そのURLだけに誘導することしかありません。
「誘導」はできる限り、URLを記載せず、
「プロフィール欄のURLから詳細をご覧ください。」などの文言で誘導するのみに限定することが望ましいです。
このような対策が考えられますがが、
費用対効果や業務効率の観点から、
これら対策が講じられない場合は、
アカウント削除覚悟でこれまでの運用を続けるしかないようです。
また、
このような対策を講じたから、
「絶対に」アカウント削除されない保証もありません。
確かに、
「到達率」「開封率」の高いLINE媒体ですが、
メルアド取得やTwitterなどの他SNSとの併用、
LINE公式アカウント(タイ王国版)のなかでも複数アカウントの分散運用など、
これまでの運用以外の対策を講じるべき時期にきているのも確かなようです。
<この記事で話題にしているLINE公式アカウント(タイ王国版)について>
ご参考にしていただければ幸いです。